コラム

ひとつひとつに命を宿す「七宝焼き」!職人はどういったことをしている?

ひとつひとつに命を宿す「七宝焼き」!職人はどういったことをしている?

職人というとどういった人を想像するでしょうか。毎日工房で同じような作品制作をしていると、思っている方もいるでしょう。工房で作品を作っているイメージは決して間違ってはいませんが、同じようなものを作っているわけではありません。職人の技術と知恵で多くの新作が生み出されていることは、意外と知られていません。

こちらの記事では、職人が七宝焼きでどういったことをしているのかを、紹介しています。

七宝焼き職人はさまざまな技法を使って制作している

七宝焼きと一言でいっても多くの技法があり、細かく分けると10種をこえるほどとなっています。七宝焼きの技法は、大きく「有線七宝」と「無線七宝」のふたつに分類可能です。職人はすべての工程を手作業でおこない、作品に命を宿しています。

それではどういったことをしているのでしょうか。職人がおこなう制作過程を知ってもらうために「有線七宝」を例として、ひとつずつ解説をしていきましょう。

素地を作ることからはじめる

「素地」とは土台のことで、銅や銀の板を作る物の形に切り出します。切り出した素地は木づちでたたいて曲線を作ったり凹凸をつけたりします。釉薬の盛り付けで割れにくくなったり凹凸でグラデーションができたりするのです。

素地に使われる金属は成形のしやすさや釉薬との相性などから、銅や銀が多く使われています。出来上がった素地に釉薬を盛り、焼成をすることで七宝焼きのベースが出来上がります。

素地に植線をほどこす

「植線」とは銀線を素地に立てていくことで、この植線こそが「有線七宝」で一番重要な工程といえるでしょう。描きたい模様や輪郭通りに銀線を置くことで、立体的に浮き上がらせられます。銀線自体が仕切りとなるので多くの色の釉薬が盛れるだけでなく、銀線自体も光るので一段と美しい仕上がりになるのです。

銀線はピンセットを用いて曲げるので非常に繊細な作業です。思い通りに加工するには10年かかるといわれています。

施釉で色を差していく

「施釉」とは色付きの釉薬を差すことで、植線でかたどった模様や輪郭に色を付けていきます。筆やホセ(竹べら)を使って施釉をおこなうので、こちらも植線同様非常に繊細な技術が必要です。ほどよい水分量が施釉のカギとなっているので、職人ならではの技術の高さが光るところでしょう。

焼成をし研磨をする

最後に「焼成」ですが、じつはここまでにも焼成は何度もおこなっております。少なくとも7回、多いと10回をこえることもあります。色を重ねることで深みを増していきますが、釉薬の層が厚くなると割れてしまうこともあり、職人の見極めが肝心な工程といえるでしょう。

仕上げに研磨をおこなうことで美しいツヤのある光沢ができ、有線七宝の完成です。以上が有線七宝の制作工程で、すべての工程のひとつひとつを職人の手で、丁寧におこなわれています。

職人はただ作るだけではない!技術を追い求める「先駆者」である

「職人がひとつひとつを手作りしているとはいえ、慣れればそこまで難しいものではない」と思う方もいるでしょう。なんでも最初はたいへんなものの、身につけば文字通り「作業」になるだけと思うかもしれません。それは誤りであり、職人はただ作るだけではないものです。常に技術を磨き・追い求める「先駆者」としてあり続けています。

七宝焼きの発祥の地では多いときで、200をこえる窯元がありました。しかしいまでは、8軒にまで激減しています。これは七宝焼きをおこなう職人の数が減り跡取りも育たないことや、七宝焼きの需要が減ってしまったことも原因だと考えられます。

そこで職人の方々は伝統のある七宝焼きを途絶えさせないように、魅力を最大限に生かした新しい七宝焼きの形を探し、切り開けたのです。新たな可能性を開き視野も広げるその姿勢こそが、職人がただ作るだけではなく、技術を追い求め続ける「先駆者」だといえます。

職人以外でなにかやっているの?

職人だけで生活をしている方もいるものの、それ以外にさまざまなことをやっている方も多いものです。たとえば「七宝焼き窯元○代目」でも自身のブランドを立ち上げ、七宝焼きを使ったアクセサリーの制作をしている方がいます。

七宝焼きの体験教室や実際に七宝焼きの基本から、高等技術を教える「入会制の教室」を経営されている方もいます。またネットショップにて職人ではなく作家として、制作・販売している方などさまざまです。

失われつつある伝統工芸の素晴らしさを世の中に広め、後世まで技術を伝えるために職人の方々は、さまざまなことをやっているのです。

まとめ

まとめ

七宝焼き職人はさまざまな技法を使い分け、多くの作品を生み出しています。土台を作ることから仕上げまでのすべてが手作業なので、いかにたいへんなのかがご理解いただけるでしょう。職人はただ作るだけではなく、伝統のある七宝焼きを途絶えさせないため、常に技術を追い求める「先駆者」として日々精進しているのです。

そのために職人と並行して別で七宝焼きを使ったアクセサリーショップを経営している方、体験教室をひらく方など、さまざまな方法で七宝焼きを広める活動などされています。

「畠山七宝製作所」 では七宝焼きの制作・販売だけでなく、百貨店や文化館・ホテルなどで展示会や実演をおこなっております。少しでも七宝焼きに興味がございましたら、お気軽にご来店・ご来場ください。

七宝焼きの種類にはどんなものがある?素地・模様・産地に分けてご紹介

七宝焼きの種類にはどんなものがある?素地・模様・産地に分けてご紹介

七宝焼きは、日本が誇る伝統工芸品の1つです。
日本に七宝焼きがやってきたのは、6世紀ごろともいわれており、その長い歴史の中で、さまざまな種類のものが生み出されてきました。

そこで今回は、七宝焼きについて、素地・模様の付け方・産地という3つの観点からそれぞれの種類についてご紹介します。

素地の種類について

七宝焼きは、素地の種類によって大きく3つに分けることができます。素地とは、七宝焼きの土台になる材質を指し、加工のしやすさから銅や銀などの金属が多く使用されています。

銅胎七宝・銀胎七宝

銅胎七宝というのは、銅から作られている七宝です。もっとも一般的であり、七宝焼き体験セットなどで使用されているのも、この銅胎七宝となっています。

銀胎七宝というのは、素地が銀で作られている七宝です。銅よりも白っぽい色をしているのが特徴で、その分発色が良いのが魅力となっています。釉薬は、半透明や透明のものが使用されています。

陶胎七宝

陶胎七宝というのは、その名の通り素地が陶磁器で作られたものです。基本的な七宝焼きの定義としては、金属を素地とするものと言われているので、その定義からは外れてしまいます。しかし、長い七宝焼きの歴史の中では、江戸時代頃から明治時代初期まで多く用いられてきた歴史があります。

残念ながら、金属の素地に比べると釉薬の発色が劣るため、その後はあまり作られることはありませんでした。

銀張七宝

銀張七宝とは、ベースとなる銅に銀箔を張って、その上から釉薬をのせたものを指します。銀箔を張るためには、まず銀箔に細かな無数の穴をあけ、より柔らかくする必要があります。その後、たゆまないように細心の注意を払いながら素地に張りつけたら、温度を管理しながら慎重に焼き付けていきます。銀胎七宝のような輝く美しさが魅力で、とくに明治20年代後半から30年代後半には大変な人気を集めました。

七宝焼きの模様の付け方による種類

七宝焼きの模様の付け方には、大きく分けて3種類があります。ここでは、それぞれの特徴をご紹介します。

有線七宝

有線七宝とは、その名の通り金属の線を使って模様を描いていく手法です。まずは、銀線を熱して形作ったらピンセットで固定し、さらに高温で熱して定着させます。そして、釉薬を銀線の中に入れて色をつけたら、さらに熱して完成です。七宝焼きの中でも、とくに代表的な手法で、繊細な図柄を表現できるのが魅力となっています。

無線七宝

無線七宝は、金属の線を利用して模様を描き、釉薬で色をのせるところまでは有線七宝と同じなのですが、焼成する前に金属の線を取り除きます。そうすることで、より釉薬の境界がぼかされ、柔らかい雰囲気の仕上がりになります。

そのほかにも、筆を使って模様を描く「描画七宝」も、無線七宝の1つといえるでしょう。また、フリットと呼ばれる、粉末にされる前の七宝絵具の粒を使用する「フリット七宝」なども無線七宝の1つです。

有無線七宝

有無線七宝というのは、有線七宝と無線七宝を組み合わせた技法です。図柄がくっきりと見える有線七宝と、ぼんやりとした表現ができる無線七宝を組み合わせることで、全体に遠近感を出すことが可能になります。東京赤坂にある迎賓館には、有無線七宝の飾り額が飾られていることでも、知られています。

七宝焼きの産地別の種類

七宝焼きには、日本にいくつかの有名な産地があり、それぞれの作品の傾向に違いがあります。ここでは、代表的な産地である東京と尾張の七宝についてご紹介します。

東京七宝

東京七宝は、その名の通り東京・北関東の地域ブランドで、主に北区・台東区・荒川区などで生産が続けられてきました。その始まりは、江戸時代の初期にさかのぼり、平田彦四郎が朝鮮からやってきた技術者に七宝焼きの技法を学び、色付けしたのが始まりといわれています。その後、彼は徳川幕府の七宝師として、美しい作品を世に残しました。

また、明治6年には、政府が勲章の製造を依頼した際、七宝焼家元の平田春行が日本初の勲章である「旭日章」の試作品を作り上げた歴史もあります。このような歴史も持つ東京七宝は、その技術を受け継ぎながら、アクセサリーや小物など日常にも取り入れやすいさまざまなアイテム作りが行われています。

尾張七宝

尾張七宝は、愛知県あま市七宝町を中心として作られている七宝です。桜や梅などの植物や風景など、華やかで繊細な図柄が特徴となっています。尾張七宝は、1830年から1844年にかけて、オランダより輸入された七宝皿を手がかりとして、梶常吉によって生み出されたといわれています。

尾張七宝の特徴は、透明感のあるルビー色をした釉薬です。赤透と呼ばれるこの色は、素地の色を生かした透明感のある作品づくりに欠かせません。製作には非常に手間がかかるため、実用品の製作よりは、壺や飾り皿などの美術工芸品に重きが置かれています。

まとめ

まとめ

今回は、七宝焼きの種類について、素地・模様の付け方・産地という3つの観点からご紹介しました。七宝焼きには、さまざまな技法や表現方法があり、長い歴史の中で現在も進化し続けています。アクセサリーや小物など、日常使いしやすいアイテムも多くありますので、ぜひ手に取ってみてください。

東京都荒川区にあります「畠山七宝製作所」は、東京都知事指定伝統工芸品である東京七宝の製作所です。指輪やブローチ、帯留めなどはもちろん、ユニークな妖怪七宝もご用意しています。オーダーメイドでの製作も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

七宝焼きのお手入れ方法とは?自分でできるお手入れ方法を紹介

七宝焼きのお手入れ方法とは?自分でできるお手入れ方法を紹介

七宝焼きは陶磁器のような重厚感とステンドグラスのような鮮やかな色の組み合わせが魅力です。アクセサリーやキッチン小物など、さまざまなシーンで七宝焼きの作品を楽しめます。

七宝焼きを購入する際の不安のひとつは手入れの仕方です。金属やガラスが含まれているため、適切なお手入れ方法がわからないという方もいるのではないでしょうか。そこで今回の記事では、自分でできる七宝焼きの七宝焼のお手入れ方法をご紹介します。

七宝焼きのお手入れの基本

七宝焼きのお手入れ方法を知るには、構造を理解しておくことが大切です。ここでは、七宝焼きの特徴を紹介しながらお手入れ方法についてご紹介します。

金属を使用している

七宝焼きの特徴のひとつは素地です。陶磁器では紙や粘土などを使用しますが、七宝焼きは金属を素地として用いています。主な金属として金、銀、銅、鉄などが使われており、作品のイメージに合わせた金属が用いられているのです。

金属には美しい光沢や優れた加工性という特徴がありますが、一方で熱が伝わりやすく変色しやすいという性質があります。七宝焼きのアクセサリーや小物などの作品を保管する際にも変色などに注意しなければなりません。

ガラスを使用している

七宝焼きのもうひとつの特徴は表面の加工です。金属の素地にガラス質の釉薬を使用しています。700℃~800℃という高い温度で釉薬の焼き付けをしており、時間が経過すると溶け出して光沢や透明感が現れるのです。

ガラスには美しいツヤを楽しめるという魅力がありますが、一方で衝撃に弱いという性質を持っています。アクセサリーで七宝焼きの作品を身につける際にも、強い衝撃を与えないように注意しなければなりません。

押さえておきたい七宝焼きのお手入れ方法

七宝焼きはデリケートなので、取り扱いには十分な注意が必要です。ここでは、七宝焼きの作品をお手入れ方法について詳しく見ていきましょう。

布を使用が基本

七宝焼きの作品をお手入れする際には布を使用しましょう。作品が手に触れないように大きめの布の使用がおすすめです。

ガラス質による加工を施した七宝焼きは、他のアクセサリーや小物に比べると繊細でキズが付きやすいという特徴があります。また、少しの汚れが付着してしまった場合、放っておくと取れにくくなってしまうでしょう。七宝焼きのアクセサリーを保管する際には、柔らかい布を使って優しく汚れを拭き取るのがおすすめです。

汚れが付着してしまった場合

七宝焼きのアクセサリーや小物を使い続けていると汚れが残ってしまうことがあります。また、外出先で食べ物や飲み物が付着してしまい、表面が汚れたというケースもあるでしょう。汚れを落とす際には柔らかい布がおすすめですが、汚れが落ちにくい場合には洗剤を使用しましょう。

食器を洗うときに使用する中性洗剤を使えば、汚れを簡単に落とせます。また、中性洗剤は金属やガラスとの相性がよいため、変色や酸化などの心配もありません。家庭用洗剤でアクセサリーや小物に付着した汚れを落とす際にも、力を加えずに丁寧に洗うのが大切です。

洗った後のお手入れ

七宝焼きの作品は太陽などの光に強く、水にぬれても強いという性質を持っています。ただし、洗剤で汚れを落とした後は、柔らかい布を使って表面に付着した洗剤の泡や水分を拭き取るのがよいでしょう。布を使って水気を拭き取る際には、力を加えずに包み込むようにケアするのがおすすめです。

七宝焼きのお手入れで注意しておきたいポイント

七宝焼きの作品をお手入れする際に、研磨剤入りの洗剤やスチールたわしを使いたいという方がいます。ここでは、七宝焼きのお手入れで注意しておきたいポイントをご紹介します。

研磨剤入りの洗剤の使用はNG

七宝焼きのお手入れにおいて研磨剤入りの洗剤は使用を控えましょう。研磨剤には硬い粒子が含まれており、ガラス質の表面にキズが付く恐れがあるからです。光沢が失われるだけではなく、表面のガラス質がはがれることもあります。汚れが付着した場合でも家庭用の中性洗剤で優しく洗うようにしましょう。

スチールたわしの使用もNG

七宝焼きのお手入れでは布の使用が基本です。スポンジの使用は可能ですが、スチール製のたわしを使うと表面に細かなキズができてしまいます。研磨剤入りの洗剤を使ったときと同じように、七宝焼きの特徴である光沢が失われてしまうでしょう。

3-3.食器洗浄器の使用も控える

七宝焼きの小物やアクセサリーをお持ちの方の中には、食器洗浄器を使ってまとめてお手入れしたいという方もいるのでしょう。しかし、食器洗浄器で洗うとアクセサリー同士がぶつかってしまい、表面にキズが付く恐れがあります。小物のお手入れをする際には、布を使って丁寧に汚れを拭き取るのが基本です。

まとめ

まとめ

七宝焼きには美しい光沢と繊細なデザインという魅力があります。いつまでも金属とガラス質の輝きを楽しめるためにも、こまめにお手入れをしましょう。

「畠山七宝製作所」ではペンダント、ブローチ、ネクタイピン、バクチャームなど、こだわりの七宝焼きの作品を取り扱っております。東京都知事指定伝統工芸品にも選出されており、確かな品質の作品を販売しております。七宝焼きの作品の購入をお考えの方は「畠山七宝製作所」にお問い合わせください。

尾張、東京、京都の産地ごとに違う七宝焼きの特徴とは?詳しく解説

尾張、東京、京都の産地ごとに違う七宝焼きの特徴とは?詳しく解説

七宝焼きは、日本の伝統工芸品の一つとして広く知られています。愛知県に七宝町という町があります。この町は七宝焼きの製造がかつて盛んだったことから、七宝町という町名になったという由来もあるほどです。七宝焼きは、その基礎が築かれた七宝町から各地に技術が広まり、愛知県だけでなく他にも複数の産地でつくられてきました。

この記事では、七宝焼きの産地や産地ごとに異なる七宝焼きの特徴について、解説します。

七宝焼きの産地は複数ある

七宝焼きの産地は、七宝町のある愛知県だけでなく、東京都・京都府・長崎県など複数の場所に存在します。七宝焼きの美しさも魅力ですが、産地ごとに作品としての特徴が異なることも七宝焼きの魅力の一つです。次に、現在も七宝焼き職人が七宝焼きを製造している産地と作品の特徴をいくつかご紹介します。

愛知県の尾張七宝

愛知県あま市七宝町と名古屋市一帯で作られる七宝焼きは、尾張の地の由来から「尾張七宝」と名づけられました。江戸時代後期に尾張(現在の愛知県西部)藩士だった、梶常吉(かじつねきち)という人物の働きによって七宝焼きと呼ばれるようになりました。

梶はオランダから日本へ輸入された皿が七宝焼きの技術で作られていることに関心を持ち、その七宝焼きの皿を解明、その後に各地へ技術が広がっていきます。広まった地域では、改良や工夫が重ねられ、産地によって七宝焼きの特徴にも変化が出てきました。

東京都の東京七宝

東京都の台東区や荒川区などで生産される七宝焼きを、「東京七宝」といいます。東京七宝は、19世紀後半に西洋の技術が取り入れられ、校章や記章などに広く用いられました。

京都の京七宝

「京七宝」は、その名の通り京都府を中心とした七宝焼きです。京七宝は、京の金工職人達が技術を学び始めたところから広まっていったと考えられています。京都のお寺などでは、引手や釘隠し金具等が今でも残っている場所が多く存在します。

尾張七宝、東京七宝、京七宝の特徴

次に、各産地の七宝焼きの特徴をご紹介します。

尾張七宝の特徴

尾張七宝は、風景や花などの柄を取り入れ、ガラス質の釉薬(ゆうやく、うわぐすり)を施すなどの華やかで繊細な技法を大切にしてつくられるのが特徴です。釉薬は赤透(あかすけ)と呼ばれる透き通った赤色が代表的で、宝石のルビーのような高級感がある色に仕上がります。高級な品が多く、七宝焼きの中では尾張七宝だけが、経済産業省指定の「伝統的工芸品」として国からの認定を受けています。

東京七宝の特徴

東京七宝は、専用の型に、色ガラスの粉の釉薬を流し込んでいくやり方で作られます。日本以外ではこのガラス素材を使った七宝焼きはあまり生産されていないので、貴重な技術です。現在では、カジュアルなペンダントやネックレスなど幅広い商品が生産されています。色ごとの境界の明瞭さや色鮮やかな柄の繊細さは評価が高く、仕上がりの美しい質感、透明感こそが東京七宝の特徴です。

京七宝の特徴

時代が進むにつれて現在では、花瓶やアクセサリーなどの商品も作られています。京七宝は、高級なものから手に入りやすいカジュアルな物まで、幅広い商品を作っています。

まとめ

まとめ

七宝焼きは、繊細な技術を使い、変化を遂げ、産地ごとに異なる特徴が生まれました。七宝焼きの製造の原点は、梶常吉という人物が、オランダから輸入された七宝焼きの皿を解明したところから始まりました。その後各地へ技術を広げていき、その地に特徴的な七宝焼きが生まれたという歴史があります。

高級なものから手に取りやすいものまで、時代を経るにつれて七宝焼きの魅力はさらに増してきました。愛知県の「尾張七宝」は、七宝焼きが日本で広まるきっかけになった七宝焼きです。豪華で繊細な技法にこだわるつくりを大切に受け継いでいます。七宝焼きの中では尾張七宝だけが、経済産業省指定の伝統工芸品として国からの認定を受けています。

また、京都を中心とした七宝焼きを「京七宝」といい、京の金工職人達が技術を学び広め、京都の寺などには引手や釘隠し金具等が今でも残っているのです。現在では、花瓶やアクセサリーなどの品も作られています。京七宝は、高級な品からカジュアルな品まで幅広く人気があります。

そして、関東・東京の七宝焼きを「東京七宝」といい、東京都台東区や荒川区などで今でも生産されており、昔から校章や記章などが作られ、現在ではカジュアルなペンダントやネックレスなどの幅広い品が作られています。東京七宝の特徴は、仕上がりの美しい質感と透明感があることで、色ごとの境界の明瞭さや色鮮やかな柄の繊細さは評価が高いことで知られています。

このように、七宝焼きは産地によって特徴があり、どの地域の作品にも違った魅力があります。どの地域も共通して変わらないところは、魅力があるのはもちろんのこと、昔と同じように職人の繊細な手仕事によって今でも美しい作品が生み出されていることです。

「畠山七宝製作所」では、紀元前からの伝統を受け継ぎ、七宝・ネクタイピン・カフスボタン・携帯ストラップ・ブローチ・ペンダント・ピンズなど、和風アクセサリーの製造・販売・卸受注も承っております。東京の伝統工芸品に指定された当社の製品を、ぜひご堪能ください。

七宝焼きの作り方について!必要な道具や自宅で作る方法も詳しく解説

七宝焼きの作り方について!必要な道具や自宅で作る方法も詳しく解説

「おうち時間」という言葉が使われるようになってから、自分で作品を制作する方が増えてきました。実は、日本の伝統文化である七宝焼きも、自宅で作成可能ということをご存知でしたか。

今回は、七宝焼きを自分で作る方法について解説していきます。必要な道具についても説明しているため、ぜひ参考にしてみてください。

七宝焼きの作り方

七宝焼きは、「金属の表面に、ガラス質の釉薬を盛り、焼き上げたもの」と言えます。そのため、金属・釉薬を用意し、焼き上げることができれば、自宅でも作成することが可能です。ガラスや金属の溶着や発色についても学べるため、小中学生の自由研究や学びの場としても最適です。

2.七宝焼き作りに必要な道具

ここでは、七宝焼きを自宅で作成するにあたって、必要な道具について簡単にご説明していきます。七宝焼きの作成の際に必要な道具は以下の通りです。

  • 銅板
  • 釉薬(ゆうやく、うわぐすり)
  • 電気炉

これらについて簡単にご説明していきます。

銅板

銅板は、七宝焼きの土台となる金属です。市販で購入することができます。銅以外にもさまざまな種類のものがありますが、銅板がもっともお求めやすい価格で購入できるため、おすすめです。

釉薬

釉薬は、銅板の上に塗るガラス質の膜になります。色や透明度を選ぶことができるため、自分が作りたい作品をイメージしながら選ぶようにしましょう。土台の金属によって適した釉薬があるため、購入の際は注意が必要です。

電気炉

電気炉は、銅板と釉薬を高温で焼き上げるために必要な機材です。費用は、コンパクトなボディでもっともリーズナブルなものだと6万円前後かかります。電子レンジやオーブントースターでの作成も可能ですが、適した機材を使用する方がリスクも少ないです。今後も七宝焼きを続けていく予定の方や本格的に取り組みたい方は電気炉の購入をおすすめします。

公民館や文化センターなどで、電気炉を使用できる場合もありますので、最寄りの施設に確認してみるのも良いでしょう。

その他、軍手やへら、やすりなど、盛り付けや焼き上げる際に使う道具などがあります。すでにお持ちの場合もあるため、必要に応じて購入しましょう。

七宝焼きの自宅での作り方

ここからは、自分で七宝焼きを作成するための方法を、具体的に解説していきたいと思います。

釉薬を盛り付ける準備

はじめに、アルコールを使って銅板を拭きあげ、釉薬をのせやすいように真ん中がくぼむように曲げていきます。焼き上げた際に形が変わらないよう、事前に裏面をガラスで裏引きしておきましょう。曲げてあるものや裏引き済みのものも市販品で販売しているため、事前準備が億劫な方は市販品で購入しても大丈夫です。

釉薬の盛り付け

次に、銅板に釉薬を盛り付けていきます。竹ベラなどを使い、銅板のフチまで盛ります。この際、違う色の釉薬を使用し、絵を描くことも可能です。ガラスビーズを使用し、アクセントを追加することもできます。自分のイメージするデザインを作り上げていきましょう。

電気炉で焼き上げる

盛り付けが完了したら、電気炉で焼き上げます。800度でおよそ2分間焼きましょう。釉薬の種類によって焼き色が変わるため、さまざまな種類のものを試して、自分の好みの釉薬を見つけるのも楽しみの一つです。

焼き上がったあとは銅板を取り出し、冷まします。ガラスは見た目による温度の変化がわかりづらいため、余裕を持って冷ますと火傷の危険性が減ります。

仕上げ

十分に冷ましたあとは、仕上げを行います。銅板からはみ出た釉薬を、やすりを使って削りましょう。この仕上げが終わると、七宝焼きの完成です。

以上が七宝焼きの自宅での作り方になります。

七宝焼き作りの魅力

七宝焼きは手軽に始められる趣味です。特にアクセサリー作りは市販のものと比べても、自分で作ったものは愛着もわき、思い出を形に残せるため、おすすめの趣味と言えるでしょう。

「伝統工芸品」と聞くと、気軽に楽しめない雰囲気や古くさいイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、七宝焼きは、始めるハードルも低く、自分自身でデザインを決めることもできます。現在、さまざまな伝統工芸品の職人や工房で、後継者不足が問題となっています。気軽に楽しめる七宝焼きを通して、日本が誇る「伝統工芸品」に興味を持っていただけますと幸いです。

まとめ

まとめ

今回説明したとおり、七宝焼きの作り方はシンプルです。銅板に釉薬を盛り付け、焼き上げることで完成します。しかし、シンプルだからこそ、職人や地域によってさまざまな技法があります。自分で七宝焼きを焼くときには、さまざまな焼き方や職人の技なども参考にして焼いてみると面白いものでしょう。

私たち「畠山七宝製作所」では、今回紹介した七宝焼きとは少し違う「東京七宝」を作成しております。職人の技術や経験に裏打ちされた作品を一部、サイトで販売しております。七宝焼きの魅力に気付いた方は、ぜひ、ご覧ください。

七宝焼きに使われる材料は?釉薬から金属まで種類を解説します

七宝焼きに使われる材料は?釉薬から金属まで種類を解説します

日本が誇る伝統工芸品である七宝焼きですが、どんな材料が使われているかご存知でしょうか。最近では、ハンドメイドで作られることも増えており、その注目度がうかがえます。自分でも七宝焼きの制作に挑戦してみたいという方もいらっしゃるでしょう。そのため、今回は、艶やかな美しさの元となっている材料についてご説明していきます。

七宝焼きは一般的に、「金属を下地として、釉薬(ゆうやく)を焼きつけたもの」のことを呼びます。艶のある見た目が特徴的で、釉薬が七宝焼きの見た目を決める最大の要因となります。以下では、釉薬について解説していきます。

釉薬について

釉薬とはガラス質の膜のことを指し、別名「うわぐすり」とも呼びます。七宝焼き意外にも、陶磁器などに使われており、石器や土器以外のほとんどの陶磁器に釉薬が使用されているのです。釉薬をかけて高温で焼き上げることにより、色を出したり、汚れから守ってくれたりする作用があります。

釉薬は原料の配分によって無数の種類があります。さらに塗り方や顔料を混ぜることで、さらに多くの表情を出すことができるのです。今回は以下の代表的な5種類の釉薬について解説します。

  • 透明釉
  • 灰釉
  • 綾部釉(緑釉)
  • 飴釉
  • 青磁釉

透明釉

透明釉は、長石や灰を原料とした釉薬です。名前の通り透明で、艶があるのが特徴と言えます。透明で下地をそのまま活かすことが可能です。絵を描いた上から使用することもできます。また、透明釉をベースに顔料を混ぜることで、自分の好みの色を出すこともできるため、汎用性の高い釉薬と言えるでしょう。

灰釉

灰釉(はいゆう、かいゆう)は灰を主原料として使用した釉薬です。植物の灰を原料としており、稲藁の灰を使った「藁灰釉」や、木の枝や落ち葉などの灰を使った「土灰釉」などが有名です。使用する灰によって焼き上がりの色が変わるため、好みの種類を見つける楽しさもあります。焼き上げた後の淡い色合いが特徴の釉薬です。

織部釉(緑釉)

織部釉は。銅を加えた釉薬で、焼き上げると緑色に仕上がるのが特徴です。瀬戸の「織部焼き」という陶磁器に使用されていたことからこの名がつけられました。

飴釉

飴釉は鉄を加えた釉薬で、飴色が特徴です。使い方によって発色が変わります。薄く使用することで、飴色だけでなく、薄い黄色を表現することも可能です。

青磁釉

青磁釉は、飴釉と同じく、鉄を加えた釉薬です。中国で発展していった「青磁」と呼ばれる磁器に使われており、青緑色が特徴的で、上品な印象を与えてくれます。

金属について

七宝焼きで使用される土台は金属です。主に、金・銀・銅が使われています。釉薬によるデザインはもちろんですが、土台となる金属によってもアクセサリーの印象は変わってきます。七宝焼きはアクセサリーにもよく使われているため、使用される金属の特徴についても触れていきたいと思います。

金(Gold)について

金は古代よりアクセサリーの素材として使用されてきました。錆びにくく、変色しないという特徴から古来より人気の金属です。上品に光り輝く金は、現在でも人気の衰えない素材の一つと言えます。

費用が高いというデメリットがありますが、最近では、金の含有率が低いものや、金メッキ加工を施したものなどもあります。そのため、比較的低価格で手に入れることが可能となりました。

銀(Silver)について

銀も金と並んで、よくアクセサリーに使用されている人気の金属です。金と同じように、含有量によって金額が変わってきますが、金よりも比較的手に取りやすい価格のため、多くの方がシルバーのアクセサリーを持っていると思います。

ただ、注意しなければならないのが「変色」です。銀は温泉や汗などで硫化してしまい、黒ずんでしまうことがあります。そのため、温泉に入る前には外す、汗をかきそうな時には外す、というように取り扱いに十分に注意しましょう。

銅(Copper)

銅はあまりアクセサリーに使われているイメージがありませんが、七宝焼きの土台には銅板が使われていることが多いです。銅は、レザーのようなエイジングを楽しむことができたり、抗菌作用・防臭作用にも優れていたりする素材です。さらに、銅は熱を吸収する素材です。そのため、肌につけた際、体温を吸収して肌に馴染んだ付け心地を感じることができます。指輪やブレスレットをご所望の方におすすめの素材と言えます。

まとめ

まとめ

七宝焼きは、ガラスと金属が織りなす工芸品です。技法によっては、自分の手でオリジナルのアクセサリーを作成することも可能なので、ぜひ、七宝焼きに挑戦してみてください。

私たち「畠山七宝製作所」では、さまざまな製品・アクセサリーを制作・販売しております。七宝焼きの魅力を堪能できる商品を数多く販売しております。また、オーダーメイドでの制作も受け付けており、世界でひとつだけの七宝焼きの製品を手にしていただけます。ご興味のある方はご相談ください。

七宝焼きの原理を紹介!色がつく理由や焼きつけるしくみなど解説

七宝焼きの原理を紹介!色がつく理由や焼きつけるしくみなど解説

七宝焼きにどうやって色がつくのか、また美しく焼けるのか気になっていませんか。七宝焼きは釉薬と金属による化学反応で、さまざまな色を出します。また研磨や焼成などの工程次第で、美しい見た目を出せるのです。

今回は七宝焼きの原理を知りたい方のために、色や焼きつけの観点からしくみを解説します。これを読んで、七宝焼きが美しく仕上がるポイントを知りましょう。

七宝焼きに色がつく原理とは

七宝焼きに色がつくのは、釉薬と金属による化学反応が主因です。釉薬にも金属が入っており、その量次第で発色が異なります。七宝焼きに色がつくしくみを、以下で詳しく見ていきましょう。

釉薬と金属による化学反応で色がつく

七宝焼きに色がつくのは、釉薬と金属による化学反応のおかげです。金属成分が高温焼成で反応を出すだけではありません。釉薬自体にも鉄や銅などの金属が入っているのです。以上から釉薬と金属の組み合わせが、理想の七宝焼きづくりに重要となります。

金属の組み合わせは、七宝焼きの発色に欠かせません。たとえば鉄がさびると赤くなります。これを応用して、鉄入りの釉薬は赤色の七宝焼きに使われます。希望の色によって、七宝焼きの材料が細かく変わるのです。

以上から七宝焼きの発色は、釉薬と金属による化学反応で起きます。

釉薬内の金属量でも発色が違う

釉薬自体にも金属が入っていて、その量によっても発色が異なります。金属の量が多いほど、焼成時の反応が違うからです。好きな色に七宝焼きを仕上げるとき、釉薬の選び方が重要になります。

たとえば釉薬に入っている鉄が少ないと、黄色くなります。多いと黒に発色するしくみです。その中間だと茶色に仕上がります。このように仕上げたい色が決まったら、それに合わせて釉薬を選ぶのがセオリーです。

釉薬は色によって金属の含み方が違うので、完成イメージに合わせて選びます。

色によって釉薬の種類も違う

釉薬の種類は、色によって違います。釉薬は従来の絵具のように、ただ色分けされているだけではありません。希望の色によって、種類が決まっているのです。

たとえば鉄系の黄色なら「黄瀬戸釉(きせとゆう)」を使います。黒い釉薬の代表例は「黒天目釉」です。七宝焼きのお店では、色に合わせて固有の釉薬を使うため、オーダーメイド前に覚えておくとよいでしょう。

また釉薬を売る店も「黄色」や「黒」ではなくそれぞれ「黄瀬戸釉」や「黒天目釉」を商品名に使うことがあります。注文前によく確かめておきましょう。

七宝焼きはなぜ美しく焼きつけられるのか

七宝焼きの美しさの原理は、釉薬と金属の組み合わせだけではありません。焼き方次第でも、仕上がりが変わります。ここではその原理を見ていきましょう。

焼成によって釉薬を溶かす

焼成によって釉薬を溶かすことで、七宝焼きの見た目が美しくなることがあります。とくに銅や銀が、美しく仕上げやすいでしょう。加工しやすくて、七宝焼き用釉薬との相性に優れているからです。

釉薬を盛った素地は、700~800度の窯で焼くことで、美しく仕上げられます。焼き始めから数分後に取り出すと、釉薬が溶けているのです。このとき釉薬はガラス状になり、光沢や透明感を出します。

焼成によって釉薬と金属の化学反応が起き、溶けた釉薬が七宝焼きの美しさを引き出すしくみです。

釉薬を盛ったあとの研磨も大切

七宝焼きは、釉薬を盛ったあとの研磨も欠かせません。これは焼く前に済ませるのが通例です。表面の高さを均一にするために、このような作業をします。凹凸ができたままだと、焼成後の七宝焼きがいびつな形になり、美しく見えません。

七宝焼きの釉薬盛りは手作業になります。そのため慣れていないと表面に凹凸ができるでしょう。しかしあとから研磨で平たくすれば、七宝焼きをきれいに仕上げられます。焼き物の美しさを引き出すには、研磨も大切です。

作り方によって焼成を繰り返すことも

焼成方法も、七宝焼きによって違います。七宝焼きにはさまざまな技法があり、それによって焼成回数も異なるのです。

複数回焼成を重ねるケースには、釉薬を重ねて盛るときがあります。1回目に釉薬を盛ったあとに焼き、あとから重ね盛りをして、また焼く形です。釉薬の色を意図的に重ね、深みのある色合いを目指すこともあります。

このように七宝焼きの作り方次第では焼成を重ね、独自の美しさを引き出すのです。

まとめ

まとめ

七宝焼きは釉薬と金属の化学反応によって発色を見せます。釉薬自体にも金属が入っているため、その量によって色が違うのがポイントです。希望の色によって必要な釉薬や、金属の素地が違います。

七宝焼きが美しく焼きあがるのは、釉薬が溶けて透明感や光沢を出すからです。技法に応じて釉薬の使い方や焼成回数を変えることもあります。技法に応じた工程で、七宝焼きの魅力を引き出せるのです。金属と釉薬に合った作り方で、七宝焼きが美しく仕上がります。

「畠山七宝製作所」では、七宝焼きのオーダーメイドを受付中です。色や素材などの要望に応じて、ただひとつの作品をご提供します。七宝焼きのアイテムをお求めなら、ぜひご連絡ください。

七宝焼きには技法がある!じつは意外なものにも使われている。

七宝焼きには技法がある!じつは意外なものにも使われている。

七宝焼きには、いろいろな「技法」があるのをご存じでしょうか。
初心者でも楽しめる七宝焼きですが、なんとなく知っているという方が多いでしょう。

こちらの記事では、七宝焼きに使われる技法をご紹介します。その他に、七宝焼きを使ったさまざまな作品の解説をしているので、ぜひ最後までお付き合いください。

七宝焼きの代表的な技法は2つ!

七宝焼きと一口にいってもさまざまな技法を使っており、釉薬(ゆうやく、うわぐすり。素地に盛り付け焼成するとガラス質になる)を使うのは同じですが、使う道具や作業によって技法が違います。代表的な技法に分けると大きく2つになるので、ひとつずつ解説していきます。

有線七宝

まずひとつ目の代表的な技法は、「有線七宝」です。銀線とよばれる金属線を素地(土台となる銅板のこと)に曲げたり切ったりして乗せ、銀線と銀線の間に釉薬を盛り、焼成する作業を何度もおこなうことで七宝焼きが作られます。

釉薬に酸化した金属を混ぜることで、赤や青・黄色や紫などの色に変わり、それを盛っていくことで焼成したときに色がついていきます。銀線を使うことにより、細かい模様ができ、完成した作品は、はっきりした色合いのものが多いのも特徴です。

無線七宝

ふたつ目の代表的な技法は、「無線七宝」です。先ほどの有線七宝とは違い、最終的に「無線」の七宝焼きが出来上がります。とはいっても、途中までの作業工程は一緒で、素地に釉薬を盛り付け焼成し、銀線を立てて色つけに釉薬を盛っていきます。

違うのは、色つけの釉薬を盛った後に銀線を取り除いて「無線」にすることです。こうすることで釉薬と釉薬の境目が無くなり、混ざり合うことで有線よりも優しい印象のぼやかした柔らかい色合いの作品ができあがるのです。

他にはどんな技法が七宝焼きにあるの?

代表的な技法は2つですが、細かく分けるともっと多くの技法が七宝焼きにはあります。ここでは3つの技法をご紹介します。素地に釉薬を盛った後からさまざまな技法に分かれ、どれも特徴的なものばかりです。

箔七宝

素地に釉薬を盛って焼成した後に、金箔や銀箔を貼り付けて焼成したり、貼り付けた箔の上に釉薬を盛って焼成したりする技法を「箔七宝」といいます。

無色の釉薬でも色付きの釉薬でも下に貼った箔の輝きが透けて見え、釉薬の色合いによっていろいろな表現をすることが可能です。有線七宝のような使い方をする「銀張有線」という技法もありますが、手間がかかり銀線のほうが作りやすいので現在ではあまり使われていません。

赤透技法

釉薬にはさまざまな種類があり、日本の伝統工芸品として国から指定をうけた「尾張七宝」が使う、釉薬の赤透(あかすけ)と呼ばれるものを使った「赤透技法」があります。

透明感のあるルビーのような赤色が特徴的で、この赤透が七宝焼きを世に知らしめたと言われるほどです。赤透以外にも、青透・紫透・緑透などがあり、素地の金属感を生かした作品が出来上がります。

省胎七宝

七宝焼きは、世界中で作られていますが、日本で独自に発展した技法もあり、そのひとつが「省胎七宝」です。「胎」とは土台(素地)のことをいい、その土台を出来上がってから取り除く(省)ことを「省胎」といいます。

土台がなくなることでガラス質の釉薬だけになり、まるでガラスでできたかのような作品に仕上がります。土台がないので、もろくとても割れやすいので、実用品として扱うことはとても難しいものです。作品として飾ったりするための技法といえるでしょう。

七宝焼きの技法を使って作られているもの

七宝焼きには、さまざまな技法があることをご紹介しましたが、どのようなものに使われているかご存じでしょうか?実は意外なものに使われています。七宝焼きの起源ははっきりとしていませんが、紀元前の古代エジプトといわれております。その理由は、ツタンカーメンの黄金のマスクに七宝焼きが使われているからです。

日本でのもっとも古い七宝焼きには、奈良県奈良市の正倉院にある「黄金瑠璃鈿背十二稜鏡(おうごんるりでんはいのじゅうにりょうきょう)」です。表面は鏡ですが、裏面にはさまざまなパーツの七宝が張り合わせてあり、とても見事な作品になっています。

古くは神社仏閣の釘隠しやふすまの取っ手部分の飾りに使われており、お皿やツボなどにも七宝焼きが用いられています。現代においては、ペンダントやブローチ・イヤリングなどのアクセサリーに七宝焼きが使われており、鑑賞ではなく身につけるものが多いでしょう。

まとめ

まとめ

七宝焼きには、さまざまな技法があり、道具や作業によって違ってきます。そのなかでも代表的な技法と言えば、「有線七宝」「無線七宝」の2つです。細かく分けるともっと多くの技法があり、銀箔を貼り付ける「箔七宝」や特徴のある釉薬を使う「赤透技法」、土台を取り除いてまるでガラスで作ったような「省胎七宝」などがあります。

ツタンカーメンの黄金のマスクや正倉院にある鏡に七宝焼きが使われており、現代においてはアクセサリーとして身につける作品に多く使われているのが特徴です。

「畠山七宝製作所」では身につける七宝焼きを制作・販売しており、男女を問わず使うことが可能なものを取り扱っております。七宝焼きが使われた作品を多数そろえ、お客様のご来店をお待ちしております。

七宝焼きは割れる!割れた七宝焼きは修復できる?割れにくい保管方法は?

七宝焼きは割れる!割れた七宝焼きは修復できる?割れにくい保管方法は?

花瓶や壺など大型の作品からペンダントや指輪などのアクセサリーなど、幅広く楽しまれている七宝焼きの作品は、どれも色がとても綺麗な伝統工芸品です。一つひとつ手作りで作られ焼かれているので、それぞれ世界でたった一つの作品が出来上がるのです。

七宝焼きは、ガラス質の製品なので割れてしまったり、ヒビが入ったりすることもあります。
ここでは、七宝焼きの製品が割れてしまったとき、直せるか否かについて解説します。

七宝焼きの魅力

七宝焼きは、銅や銀などの金属素地に、ガラス質の七宝用の絵の具である釉薬をのせて焼き付けた伝統工芸品です。

釉薬のもり具合やほんの少しの温度差で、炉から出した時にはそれぞれ異なる表情を持つ唯一無二、世界でたった一つの製品が出来上がります。

1-1.七宝焼きの七宝とは

「七つの宝」と書く七宝の意味は、仏教の教文に記載されている「七つの宝」を指しています。

  • ルリ(ラピスラズリ)
  • ハリ(水晶)
  • シャコ貝
  • メノウ
  • 真珠

その七つの宝石に匹敵するくらいに美しいことから、「七宝」という名が付いたと言われているのです。

100年経っても美しい色を保ち色褪せない

七宝焼きの作品は、釉薬で付けた色が魅力です。また、その色は、100年経っても色褪せずに、美しい色を持続できることも七宝焼きの魅力です。

とくに銀線を使用しない「無線七宝」は、作り手によって釉薬の厚みが違うので、同じような柄でも色の濃さなどが異なってきます。

粉々には割れない理由は製法にある!

そもそも七宝焼きは、ガラス質の作品です。そのため、割れてしまう心配もあることでしょう。ただし、大作であっても、陶器のように粉々に割れてしまうことはありません。

乱暴に扱ったり、強い衝撃を与えると、割れるというよりガラス質の部分にひびが入ったり、かけてしまうのが七宝焼きの特徴です。

なぜ、ガラス質なのに粉々に割れてしまわないのかというその理由は、七宝焼きの製法にあります。

七宝焼きの製法

七宝焼きの原材料は、銅・銀・金を素地(土台)として、これらを木槌で叩いて凹みをつくります。そこに七宝焼きの色となる釉薬をのせて、裏側にも釉薬を塗り、バランスをとって、破損を防ぎます。

その後、銀箔を貼り付け、模様の輪郭部分とある銀線を立てていきます(これを植線という)。アクセサリーなら1~2日の作業ですが、大作なら、何週間もこの作業に時間がかかることもあるのです。

出来上がった模様の中に、銀線の高さを超えるところまで、釉薬の色を差します(これを施釉という)。その後、表面の高さと銀線の高さが揃うように磨き、表面を滑らかにします。

素地作りや植線などの作業からつくられた七宝はこの工程の間に、焼成を何回も繰り返して作品として焼きあがるのです。

釉薬の色を重ねるほどに、七宝の色は深くなっていきます。素地つくり・植線・焼成を繰り返し、1つの作品が出来上がるまではおよそ3日かかると言われています。

素地や銀線を立てているので粉々には割れない。

土・粘土が素地の陶器や、七宝と同じガラス質であるグラスも落としたり、強い力を加えたりするとバリバリっと割れてしまいます。しかしアクセサリーなどの小物はもちろん、大作の七宝でも陶器の茶碗やグラスにようには割れません。

その理由は、七宝の製法からもわかるように、ガラス質であっても素地に銅などの金属を使っており、模様の輪郭部分に銀線を立ててつくられているからです。

割れるというよりひびが入る

七宝焼きの作品は、粉々に割れることはありません。ガラス質の部分にヒビが入るか、ヒビの入った部分が欠けてしまいます。金・銀・銅・鉄などの金属製の素地に、ガラスの粉の釉薬をのせ、800℃前後の高温で焼き上げるのが七宝です。

金属が素材の素地は、よほどのことがない限り、真っ二つに割れたり、粉々に割れたりすることはありません。
しかし表面の釉薬は、ガラス質なので、割れるというよりヒビが入ったり欠けたりします。そのため、グラスや陶器と同じように、取り扱いには注意して、大切に扱わなければならないのです。

ヒビや欠けてしまった七宝の修復は難しい!

製作所によっては、ヒビや欠けてしまった七宝焼きは、「焼き直して修理して直すことが可能」とその修理を承っているところもあります。

ただ、一般的には、修理は難しいといわれ、ヒビや欠けている部分の修理を断る製作所が多いのも現状です。というのも、七宝は最初に解説したように同じ作品はないからです

  • 同じ色が出せない
  • 何度で焼かれたのかわからない
  • 銀線を立てている場合は、銀線を外さなければならず、同じようには立てられない

上記のような理由から、ヒビや欠けた部分の補修が難しいという理由で、修復の依頼を断る製作所が多いのでしょう。

お手入れの仕方

修理は無理だけれど七宝焼きの製品は、大切にしなければガラス質の釉薬の部分にひびが入ってしまったり、欠けたりしてしまいます。

七宝焼きの作品は、太陽光でも変色せず、水にぬれても問題はありません。日頃のお手入れは、不織布や眼鏡拭きなどの柔らかい布で拭く程度でよいでしょう。

注意する点は強い衝撃や落とすとヒビが入ったり、欠けてしまったりする場合があります。そのため丁寧に扱うようにしてください。

地金が銀製品の場合

地金が銀という七宝もあります。銀が地金のものは表面が黒ずんできます。いわゆる自然のいぶし銀のような現象です。

銀色七宝は、華やかな美しい色を使っているだけに、地金の黒ずみは見た目が悪くなってしまいます。液体タイプのシルバークリーナーなどで、定期的に黒ずみを落としてあげましょう。

まとめ

まとめ

伝統工芸品である七宝焼きは、いつまでも色落ちしないので、親子・孫の代まで受け継ぎ、楽しむことが可能です。上手に管理して、いつまでも「七宝」と言われる美しい色を楽しんでください。

「畠山七宝製作所」は、東京都荒川区にある七宝焼きの製作所です。弊社の商品は、東京都知事指定の伝統工芸品として認められている商品です。

弊社では店頭、また百貨店やホテルで展示販売しているほか、一部商品はWEBサイト内で七宝焼きの販売をしています。紀元前からの伝統を受け継ぎ、進化を続ける伝統工芸の七宝焼を、是非ご堪能下さい。

七宝焼きの必要な温度とは?はじめての人が起こしやすい失敗例を解説

七宝焼きの必要な温度とは?はじめての人が起こしやすい失敗例を解説

はじめて七宝焼きをおこなう方は、どれぐらいの温度が必要なのか分からないでしょう。普段から窯を使うわけではないので、当然のことです。七宝焼きは焼成をするので、適切な温度がどれぐらいなのか知らないと困ってしまうでしょう。

今回は、七宝焼きに必要な温度やはじめての人が起こしやすい失敗例を紹介しています。温度だけでなく、焼成で失敗しないためのコツもご紹介しましょう。自分で焼いてみたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

七宝焼きに必要な温度は基本的に800℃~850℃!窯も簡単に設置できる?

七宝焼きをおこなううえで、必要になる工程が「焼成」です。これをおこなわないと金属に光沢や色がつけられないので、何度も焼成をおこないます。

七宝焼きに必要な温度は基本的に「800℃~850℃」といわれております。窯を用いて焼成するものの、温度を保つのはたいへんです。なにより煙が出るので、近隣住民に迷惑をかける可能性が高いといえます。

そこで使うのが「電気窯」とよばれる、ガスや灯油などを使わない窯です。電気で焼成が可能なので、初めての方だけでなくプロの方も愛用されています。電気窯には1,000℃をこえる高温が出せるものや、窯内が広くなっているものなどさまざまな種類があります。値段も5万円~30万ほどです。ほかにも煙は出ることがなく設置も簡単にできるというメリットもあり、自宅で手軽に焼成をおこなえるでしょう。

七宝焼きに必要な温度は変わる?

基本的に七宝焼きに必要な焼成温度は、800℃~850℃と述べました。しかしすべてがこの温度でよいわけではありません。たとえば「有線七宝」に必要となる銀線を曲げるためには熱を加えるので、電気窯を使って「750℃」ほどの温度で熱しなければいけません。

釉薬ひとつをとっても温度は変わり、成分や色によって750℃~900℃と温度に差がうまれます。なかには燃焼が難しいものもあり、盛ったときと焼成後の色が化学変化を起こして、まったく違う色に変わってしまうこともよくあります。多くの色を使えばそのぶん、温度に気を使わなければなりません。経験と知識が必要になるでしょう。

七宝焼きをはじめてつくる方が起こしやすい失敗3選

七宝焼きは伝統工芸のなかでも、だれでも手軽にはじめられるものです。焼成に必要な窯は小型の電気窯で十分なので、道具もそろえやすいのが理由としてあげられます。

七宝焼きではどういった失敗があるのでしょうか。はじめておこなううえで起こしやすい失敗例を3つあげるので、ひとつずつ解説をしていきます。

釉薬の水洗いが足りない・やっていない

七宝焼きの美しい光沢は、釉薬の盛り付けが重要な工程になっています。その釉薬はそのまま使用できず、水洗いをしなければなりません。

釉薬にはゴミや微粉といった不純物が含まれているので、そのまま使ってしまうと色がにごり、きれいに発色できません。水洗いをやっていないのはもちろん、一度の水洗いでも不十分です。二度三度繰り返し水洗いをすることが、不純物を取り除くコツです。

乳鉢と乳棒を使うのもおすすめの方法で、不純物が取り除けるのはもちろん釉薬の粒子がさらに細かくなるので、焼成後の発色がさらにきれいになってきます。透明・銀色の釉薬を使う際には、試してみるとよいでしょう。

焼成時間の見極めで失敗

焼成の温度はある程度決まっているものの、時間は明確にしていないことが多いものです。なかには1~2分程度といっているところもありますが、あくまで目安でしかなりません。

七宝焼きは釉薬を盛り、それを焼成しているのでそれが溶けたら取り出しています。その見極めは初心者にはたいへん難しく、焼成時間が長すぎると焦げる・色がきれいに出ず、短すぎると表面がデコボコになってしまいます。

失敗をしないコツとして、早めに出すようにしましょう。焼きすぎると取り返しがききません。早すぎるなら焼き直しができるので、失敗を減らせるでしょう。

焼成後の釉薬をさわる

焼成後の作品は非常に熱くなっております。800℃前後の電気窯に入っていたからです。七宝焼きに使う釉薬は焼成するとガラス質に変わり、ガラスは見た目では温度が分かりません。キレイだからとうっかり触ってしまうと、やけどをしてしまいます。触れたい気持ちはよくわかりますが、十分に冷めてからにしましょう。

まとめ

まとめ

七宝焼きも釜に入れて焼成を何度もおこなうので、適切な温度を知っておかなければなりません。基本的には800℃~850℃といわれており、電気窯を使うことで容易に温度の設定ができます。技法や使用する釉薬によっても温度は変わり、とくに釉薬は焼成の前後で、まったく違う色に変わってしまうこともあります。七宝焼きは道具がそろえやすく手軽にはじめられますが、慣れるまでは失敗も多いので気をつけておきましょう。

「畠山七宝製作所」では職人が一つひとつを、手作業で丁寧に仕上げた作品を販売しています。職人の技術が手掛ける七宝焼きのさまざまな商品を、一度ご覧ください。お客様のご来店を心よりお待ちしております。