七宝焼き(しっぽうやき)とは?特徴や種類、歴史について解説!
七宝焼き(しっぽうやき)というものをご存知でしょうか。
七宝焼きは金属とガラスを用いた伝統工芸品で、今や、日本を代表する工芸品の一つです。近年では、ハンドメイド作品としても人気のアイテムのため、目にしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、七宝焼きの特徴や種類、歴史について解説していきます。
七宝焼きとは
七宝焼きは、日本を代表する伝統工芸の技術です。金・銀・銅などの金属に、「釉薬(ゆうやく、うわぐすり)」を用い、高温で焼き上げることで完成します。釉薬は「うわぐすり」とも呼び、色を加えたり、耐水性を高めたりするために使用されます。釉薬はガラス質の膜で、これにより、美しく、つやのある風合いを出すことができます。
七宝について
七宝(しっぽう)とは、仏教で伝えられている「7つの宝物」のことを指します。以下がその7つです。
- 金
- 銀
- 瑠璃(ラピスラズリ)
- 玻璃
- シャコ
- 珊瑚
- メノウ
これらの7つの宝物に匹敵するほどの美しさを持つもの、という意味を込めて「七宝焼き」と名付けられました。そして時代を超えて現代でも、七宝焼きは人々の生活に根付き、愛され続けているのです。
七宝焼きの魅力
七宝焼きの魅力は、カラフルなデザインと、釉薬によるつややかな見た目です。職人によるプロフェッショナルな作品はもちろん、初心者でも簡単に作成できるという間口の広さも魅力の一つです。
釉薬によるコーティングのおかげで、傷やカビといった問題が起こりにくく、保存性が高いといった特徴もあります。しかし、ガラス質のため、衝撃に弱いという特徴があるため、取扱には注意が必要です。
七宝焼きの歴史
七宝焼きの歴史については諸説ありますが、紀元前13世紀にキプロス島のミケーレ人の墓から七宝焼きに近いものが発見されています。また、釉薬を使用したガラス製品は、古代エジプトや古代メソポタミアで使用されていたとされています。七宝の技術は、シルクロードをわたり、中国やヨーロッパへ分散していきます。12世紀のヨーロッパでは、すでに高度な七宝技術が完成していました。
日本への伝来
日本への技術は中国・朝鮮を渡って伝来してきました。奈良時代の遺跡から、七宝焼きが出土しており、現在は正倉院に保管されております。しかし、現在の日本の七宝焼きの技術が完成したのは、意外にも近代です。
1833年に愛知県の陶芸家である梶常吉(かじつねきち)によって現在の七宝焼きの技法が発見されました。のちに、1867年のパリ万博によって、日本の七宝焼きが世界に広く知られることとなりました。それからは、日本だけでなく世界中で七宝焼きが愛されています。
七宝焼きの種類
七宝焼きの技法にはさまざまな種類があります。高度な技術を要するものから、お手軽に始められるものまで幅が広いです。ここでは、日本で使われている七宝焼きの技術についていくつかご紹介していきます。作る作品によって適している技法も違っているため、簡単に把握しておくと良いでしょう。
象嵌七宝
象嵌(ぞうがん)七宝は、型にはめ込んで作る方法です。象り(かたどり)、嵌める(はめる)という意味です。金属の素地を彫ることでできた型に釉薬を流し込む技法です。
有線七宝
有線(ゆうせん)七宝は、金属の細い線を使い模様を描き、そこに釉薬で色を入れていく技法です、七宝焼きの中で、もっともスタンダードな技法です。釉薬による色付けは職人の手作業になるため、色の濃度で個体差が出ます。しかし、デザインなどに違いが生まれないのが特徴です。
無線七宝
無線(むせん)七宝は、金属の線を使わない技法のことです。正確には、途中までは有線七宝と同じ制作方法ですが、高温で焼き上げる前に金属の線を抜きます。それによって、釉薬が混ざり、境界線がぼやけ、グラデーションを作り上げることが可能です。
上記の技法が、本来無線七宝と呼ばれていました。しかし、現在では、金属線を使用していない七宝焼きのことを無線七宝と呼ぶようになりました。
省胎七宝
省胎(しょうたい)七宝は、七宝焼きを作る際に使用する金属の土台を、作成後に溶かす技法です。完成品は、土台がなくなり、釉薬のみのガラス製品となります。他の七宝焼きと違い、金属部分がないため、アクセサリーなど身につけるものには使われず、観賞用の芸術品として用いられる技法となります。
盛上七宝
通常の七宝焼きでは、最後の工程として、表面を削り滑らかにします。しかし、この盛上七宝では、あえて凹凸を作り出し、模様を強調させています。そのため、デザイン性に優れているのが特徴の技法です。
まとめ
日本の七宝焼きはその見た目の美しさから、国内だけにとどまらず、海外でも人気があります。ぜひこの機会に日本の伝統文化である七宝焼きの魅力を感じていただければ幸いです。
「畠山七宝製作所」では、ブローチやペンダントなどのアクセサリーの販売も行なっております。伝統工芸師による本物の七宝焼をぜひご堪能ください。まずは、クオリティの高い七宝焼きを実際にご覧くださいませ。