2024年02月

尾張、東京、京都の産地ごとに違う七宝焼きの特徴とは?詳しく解説

尾張、東京、京都の産地ごとに違う七宝焼きの特徴とは?詳しく解説

七宝焼きは、日本の伝統工芸品の一つとして広く知られています。愛知県に七宝町という町があります。この町は七宝焼きの製造がかつて盛んだったことから、七宝町という町名になったという由来もあるほどです。七宝焼きは、その基礎が築かれた七宝町から各地に技術が広まり、愛知県だけでなく他にも複数の産地でつくられてきました。

この記事では、七宝焼きの産地や産地ごとに異なる七宝焼きの特徴について、解説します。

七宝焼きの産地は複数ある

七宝焼きの産地は、七宝町のある愛知県だけでなく、東京都・京都府・長崎県など複数の場所に存在します。七宝焼きの美しさも魅力ですが、産地ごとに作品としての特徴が異なることも七宝焼きの魅力の一つです。次に、現在も七宝焼き職人が七宝焼きを製造している産地と作品の特徴をいくつかご紹介します。

愛知県の尾張七宝

愛知県あま市七宝町と名古屋市一帯で作られる七宝焼きは、尾張の地の由来から「尾張七宝」と名づけられました。江戸時代後期に尾張(現在の愛知県西部)藩士だった、梶常吉(かじつねきち)という人物の働きによって七宝焼きと呼ばれるようになりました。

梶はオランダから日本へ輸入された皿が七宝焼きの技術で作られていることに関心を持ち、その七宝焼きの皿を解明、その後に各地へ技術が広がっていきます。広まった地域では、改良や工夫が重ねられ、産地によって七宝焼きの特徴にも変化が出てきました。

東京都の東京七宝

東京都の台東区や荒川区などで生産される七宝焼きを、「東京七宝」といいます。東京七宝は、19世紀後半に西洋の技術が取り入れられ、校章や記章などに広く用いられました。

京都の京七宝

「京七宝」は、その名の通り京都府を中心とした七宝焼きです。京七宝は、京の金工職人達が技術を学び始めたところから広まっていったと考えられています。京都のお寺などでは、引手や釘隠し金具等が今でも残っている場所が多く存在します。

尾張七宝、東京七宝、京七宝の特徴

次に、各産地の七宝焼きの特徴をご紹介します。

尾張七宝の特徴

尾張七宝は、風景や花などの柄を取り入れ、ガラス質の釉薬(ゆうやく、うわぐすり)を施すなどの華やかで繊細な技法を大切にしてつくられるのが特徴です。釉薬は赤透(あかすけ)と呼ばれる透き通った赤色が代表的で、宝石のルビーのような高級感がある色に仕上がります。高級な品が多く、七宝焼きの中では尾張七宝だけが、経済産業省指定の「伝統的工芸品」として国からの認定を受けています。

東京七宝の特徴

東京七宝は、専用の型に、色ガラスの粉の釉薬を流し込んでいくやり方で作られます。日本以外ではこのガラス素材を使った七宝焼きはあまり生産されていないので、貴重な技術です。現在では、カジュアルなペンダントやネックレスなど幅広い商品が生産されています。色ごとの境界の明瞭さや色鮮やかな柄の繊細さは評価が高く、仕上がりの美しい質感、透明感こそが東京七宝の特徴です。

京七宝の特徴

時代が進むにつれて現在では、花瓶やアクセサリーなどの商品も作られています。京七宝は、高級なものから手に入りやすいカジュアルな物まで、幅広い商品を作っています。

まとめ

まとめ

七宝焼きは、繊細な技術を使い、変化を遂げ、産地ごとに異なる特徴が生まれました。七宝焼きの製造の原点は、梶常吉という人物が、オランダから輸入された七宝焼きの皿を解明したところから始まりました。その後各地へ技術を広げていき、その地に特徴的な七宝焼きが生まれたという歴史があります。

高級なものから手に取りやすいものまで、時代を経るにつれて七宝焼きの魅力はさらに増してきました。愛知県の「尾張七宝」は、七宝焼きが日本で広まるきっかけになった七宝焼きです。豪華で繊細な技法にこだわるつくりを大切に受け継いでいます。七宝焼きの中では尾張七宝だけが、経済産業省指定の伝統工芸品として国からの認定を受けています。

また、京都を中心とした七宝焼きを「京七宝」といい、京の金工職人達が技術を学び広め、京都の寺などには引手や釘隠し金具等が今でも残っているのです。現在では、花瓶やアクセサリーなどの品も作られています。京七宝は、高級な品からカジュアルな品まで幅広く人気があります。

そして、関東・東京の七宝焼きを「東京七宝」といい、東京都台東区や荒川区などで今でも生産されており、昔から校章や記章などが作られ、現在ではカジュアルなペンダントやネックレスなどの幅広い品が作られています。東京七宝の特徴は、仕上がりの美しい質感と透明感があることで、色ごとの境界の明瞭さや色鮮やかな柄の繊細さは評価が高いことで知られています。

このように、七宝焼きは産地によって特徴があり、どの地域の作品にも違った魅力があります。どの地域も共通して変わらないところは、魅力があるのはもちろんのこと、昔と同じように職人の繊細な手仕事によって今でも美しい作品が生み出されていることです。

「畠山七宝製作所」では、紀元前からの伝統を受け継ぎ、七宝・ネクタイピン・カフスボタン・携帯ストラップ・ブローチ・ペンダント・ピンズなど、和風アクセサリーの製造・販売・卸受注も承っております。東京の伝統工芸品に指定された当社の製品を、ぜひご堪能ください。