2023年11月

七宝焼きの原理を紹介!色がつく理由や焼きつけるしくみなど解説

七宝焼きの原理を紹介!色がつく理由や焼きつけるしくみなど解説

七宝焼きにどうやって色がつくのか、また美しく焼けるのか気になっていませんか。七宝焼きは釉薬と金属による化学反応で、さまざまな色を出します。また研磨や焼成などの工程次第で、美しい見た目を出せるのです。

今回は七宝焼きの原理を知りたい方のために、色や焼きつけの観点からしくみを解説します。これを読んで、七宝焼きが美しく仕上がるポイントを知りましょう。

七宝焼きに色がつく原理とは

七宝焼きに色がつくのは、釉薬と金属による化学反応が主因です。釉薬にも金属が入っており、その量次第で発色が異なります。七宝焼きに色がつくしくみを、以下で詳しく見ていきましょう。

釉薬と金属による化学反応で色がつく

七宝焼きに色がつくのは、釉薬と金属による化学反応のおかげです。金属成分が高温焼成で反応を出すだけではありません。釉薬自体にも鉄や銅などの金属が入っているのです。以上から釉薬と金属の組み合わせが、理想の七宝焼きづくりに重要となります。

金属の組み合わせは、七宝焼きの発色に欠かせません。たとえば鉄がさびると赤くなります。これを応用して、鉄入りの釉薬は赤色の七宝焼きに使われます。希望の色によって、七宝焼きの材料が細かく変わるのです。

以上から七宝焼きの発色は、釉薬と金属による化学反応で起きます。

釉薬内の金属量でも発色が違う

釉薬自体にも金属が入っていて、その量によっても発色が異なります。金属の量が多いほど、焼成時の反応が違うからです。好きな色に七宝焼きを仕上げるとき、釉薬の選び方が重要になります。

たとえば釉薬に入っている鉄が少ないと、黄色くなります。多いと黒に発色するしくみです。その中間だと茶色に仕上がります。このように仕上げたい色が決まったら、それに合わせて釉薬を選ぶのがセオリーです。

釉薬は色によって金属の含み方が違うので、完成イメージに合わせて選びます。

色によって釉薬の種類も違う

釉薬の種類は、色によって違います。釉薬は従来の絵具のように、ただ色分けされているだけではありません。希望の色によって、種類が決まっているのです。

たとえば鉄系の黄色なら「黄瀬戸釉(きせとゆう)」を使います。黒い釉薬の代表例は「黒天目釉」です。七宝焼きのお店では、色に合わせて固有の釉薬を使うため、オーダーメイド前に覚えておくとよいでしょう。

また釉薬を売る店も「黄色」や「黒」ではなくそれぞれ「黄瀬戸釉」や「黒天目釉」を商品名に使うことがあります。注文前によく確かめておきましょう。

七宝焼きはなぜ美しく焼きつけられるのか

七宝焼きの美しさの原理は、釉薬と金属の組み合わせだけではありません。焼き方次第でも、仕上がりが変わります。ここではその原理を見ていきましょう。

焼成によって釉薬を溶かす

焼成によって釉薬を溶かすことで、七宝焼きの見た目が美しくなることがあります。とくに銅や銀が、美しく仕上げやすいでしょう。加工しやすくて、七宝焼き用釉薬との相性に優れているからです。

釉薬を盛った素地は、700~800度の窯で焼くことで、美しく仕上げられます。焼き始めから数分後に取り出すと、釉薬が溶けているのです。このとき釉薬はガラス状になり、光沢や透明感を出します。

焼成によって釉薬と金属の化学反応が起き、溶けた釉薬が七宝焼きの美しさを引き出すしくみです。

釉薬を盛ったあとの研磨も大切

七宝焼きは、釉薬を盛ったあとの研磨も欠かせません。これは焼く前に済ませるのが通例です。表面の高さを均一にするために、このような作業をします。凹凸ができたままだと、焼成後の七宝焼きがいびつな形になり、美しく見えません。

七宝焼きの釉薬盛りは手作業になります。そのため慣れていないと表面に凹凸ができるでしょう。しかしあとから研磨で平たくすれば、七宝焼きをきれいに仕上げられます。焼き物の美しさを引き出すには、研磨も大切です。

作り方によって焼成を繰り返すことも

焼成方法も、七宝焼きによって違います。七宝焼きにはさまざまな技法があり、それによって焼成回数も異なるのです。

複数回焼成を重ねるケースには、釉薬を重ねて盛るときがあります。1回目に釉薬を盛ったあとに焼き、あとから重ね盛りをして、また焼く形です。釉薬の色を意図的に重ね、深みのある色合いを目指すこともあります。

このように七宝焼きの作り方次第では焼成を重ね、独自の美しさを引き出すのです。

まとめ

まとめ

七宝焼きは釉薬と金属の化学反応によって発色を見せます。釉薬自体にも金属が入っているため、その量によって色が違うのがポイントです。希望の色によって必要な釉薬や、金属の素地が違います。

七宝焼きが美しく焼きあがるのは、釉薬が溶けて透明感や光沢を出すからです。技法に応じて釉薬の使い方や焼成回数を変えることもあります。技法に応じた工程で、七宝焼きの魅力を引き出せるのです。金属と釉薬に合った作り方で、七宝焼きが美しく仕上がります。

「畠山七宝製作所」では、七宝焼きのオーダーメイドを受付中です。色や素材などの要望に応じて、ただひとつの作品をご提供します。七宝焼きのアイテムをお求めなら、ぜひご連絡ください。