七宝焼きには技法がある!じつは意外なものにも使われている。

七宝焼きには技法がある!じつは意外なものにも使われている。

七宝焼きには、いろいろな「技法」があるのをご存じでしょうか。
初心者でも楽しめる七宝焼きですが、なんとなく知っているという方が多いでしょう。

こちらの記事では、七宝焼きに使われる技法をご紹介します。その他に、七宝焼きを使ったさまざまな作品の解説をしているので、ぜひ最後までお付き合いください。

七宝焼きの代表的な技法は2つ!

七宝焼きと一口にいってもさまざまな技法を使っており、釉薬(ゆうやく、うわぐすり。素地に盛り付け焼成するとガラス質になる)を使うのは同じですが、使う道具や作業によって技法が違います。代表的な技法に分けると大きく2つになるので、ひとつずつ解説していきます。

有線七宝

まずひとつ目の代表的な技法は、「有線七宝」です。銀線とよばれる金属線を素地(土台となる銅板のこと)に曲げたり切ったりして乗せ、銀線と銀線の間に釉薬を盛り、焼成する作業を何度もおこなうことで七宝焼きが作られます。

釉薬に酸化した金属を混ぜることで、赤や青・黄色や紫などの色に変わり、それを盛っていくことで焼成したときに色がついていきます。銀線を使うことにより、細かい模様ができ、完成した作品は、はっきりした色合いのものが多いのも特徴です。

無線七宝

ふたつ目の代表的な技法は、「無線七宝」です。先ほどの有線七宝とは違い、最終的に「無線」の七宝焼きが出来上がります。とはいっても、途中までの作業工程は一緒で、素地に釉薬を盛り付け焼成し、銀線を立てて色つけに釉薬を盛っていきます。

違うのは、色つけの釉薬を盛った後に銀線を取り除いて「無線」にすることです。こうすることで釉薬と釉薬の境目が無くなり、混ざり合うことで有線よりも優しい印象のぼやかした柔らかい色合いの作品ができあがるのです。

他にはどんな技法が七宝焼きにあるの?

代表的な技法は2つですが、細かく分けるともっと多くの技法が七宝焼きにはあります。ここでは3つの技法をご紹介します。素地に釉薬を盛った後からさまざまな技法に分かれ、どれも特徴的なものばかりです。

箔七宝

素地に釉薬を盛って焼成した後に、金箔や銀箔を貼り付けて焼成したり、貼り付けた箔の上に釉薬を盛って焼成したりする技法を「箔七宝」といいます。

無色の釉薬でも色付きの釉薬でも下に貼った箔の輝きが透けて見え、釉薬の色合いによっていろいろな表現をすることが可能です。有線七宝のような使い方をする「銀張有線」という技法もありますが、手間がかかり銀線のほうが作りやすいので現在ではあまり使われていません。

赤透技法

釉薬にはさまざまな種類があり、日本の伝統工芸品として国から指定をうけた「尾張七宝」が使う、釉薬の赤透(あかすけ)と呼ばれるものを使った「赤透技法」があります。

透明感のあるルビーのような赤色が特徴的で、この赤透が七宝焼きを世に知らしめたと言われるほどです。赤透以外にも、青透・紫透・緑透などがあり、素地の金属感を生かした作品が出来上がります。

省胎七宝

七宝焼きは、世界中で作られていますが、日本で独自に発展した技法もあり、そのひとつが「省胎七宝」です。「胎」とは土台(素地)のことをいい、その土台を出来上がってから取り除く(省)ことを「省胎」といいます。

土台がなくなることでガラス質の釉薬だけになり、まるでガラスでできたかのような作品に仕上がります。土台がないので、もろくとても割れやすいので、実用品として扱うことはとても難しいものです。作品として飾ったりするための技法といえるでしょう。

七宝焼きの技法を使って作られているもの

七宝焼きには、さまざまな技法があることをご紹介しましたが、どのようなものに使われているかご存じでしょうか?実は意外なものに使われています。七宝焼きの起源ははっきりとしていませんが、紀元前の古代エジプトといわれております。その理由は、ツタンカーメンの黄金のマスクに七宝焼きが使われているからです。

日本でのもっとも古い七宝焼きには、奈良県奈良市の正倉院にある「黄金瑠璃鈿背十二稜鏡(おうごんるりでんはいのじゅうにりょうきょう)」です。表面は鏡ですが、裏面にはさまざまなパーツの七宝が張り合わせてあり、とても見事な作品になっています。

古くは神社仏閣の釘隠しやふすまの取っ手部分の飾りに使われており、お皿やツボなどにも七宝焼きが用いられています。現代においては、ペンダントやブローチ・イヤリングなどのアクセサリーに七宝焼きが使われており、鑑賞ではなく身につけるものが多いでしょう。

まとめ

まとめ

七宝焼きには、さまざまな技法があり、道具や作業によって違ってきます。そのなかでも代表的な技法と言えば、「有線七宝」「無線七宝」の2つです。細かく分けるともっと多くの技法があり、銀箔を貼り付ける「箔七宝」や特徴のある釉薬を使う「赤透技法」、土台を取り除いてまるでガラスで作ったような「省胎七宝」などがあります。

ツタンカーメンの黄金のマスクや正倉院にある鏡に七宝焼きが使われており、現代においてはアクセサリーとして身につける作品に多く使われているのが特徴です。

「畠山七宝製作所」では身につける七宝焼きを制作・販売しており、男女を問わず使うことが可能なものを取り扱っております。七宝焼きが使われた作品を多数そろえ、お客様のご来店をお待ちしております。