七宝焼きは割れる!割れた七宝焼きは修復できる?割れにくい保管方法は?

七宝焼きは割れる!割れた七宝焼きは修復できる?割れにくい保管方法は?

花瓶や壺など大型の作品からペンダントや指輪などのアクセサリーなど、幅広く楽しまれている七宝焼きの作品は、どれも色がとても綺麗な伝統工芸品です。一つひとつ手作りで作られ焼かれているので、それぞれ世界でたった一つの作品が出来上がるのです。

七宝焼きは、ガラス質の製品なので割れてしまったり、ヒビが入ったりすることもあります。
ここでは、七宝焼きの製品が割れてしまったとき、直せるか否かについて解説します。

七宝焼きの魅力

七宝焼きは、銅や銀などの金属素地に、ガラス質の七宝用の絵の具である釉薬をのせて焼き付けた伝統工芸品です。

釉薬のもり具合やほんの少しの温度差で、炉から出した時にはそれぞれ異なる表情を持つ唯一無二、世界でたった一つの製品が出来上がります。

1-1.七宝焼きの七宝とは

「七つの宝」と書く七宝の意味は、仏教の教文に記載されている「七つの宝」を指しています。

  • ルリ(ラピスラズリ)
  • ハリ(水晶)
  • シャコ貝
  • メノウ
  • 真珠

その七つの宝石に匹敵するくらいに美しいことから、「七宝」という名が付いたと言われているのです。

100年経っても美しい色を保ち色褪せない

七宝焼きの作品は、釉薬で付けた色が魅力です。また、その色は、100年経っても色褪せずに、美しい色を持続できることも七宝焼きの魅力です。

とくに銀線を使用しない「無線七宝」は、作り手によって釉薬の厚みが違うので、同じような柄でも色の濃さなどが異なってきます。

粉々には割れない理由は製法にある!

そもそも七宝焼きは、ガラス質の作品です。そのため、割れてしまう心配もあることでしょう。ただし、大作であっても、陶器のように粉々に割れてしまうことはありません。

乱暴に扱ったり、強い衝撃を与えると、割れるというよりガラス質の部分にひびが入ったり、かけてしまうのが七宝焼きの特徴です。

なぜ、ガラス質なのに粉々に割れてしまわないのかというその理由は、七宝焼きの製法にあります。

七宝焼きの製法

七宝焼きの原材料は、銅・銀・金を素地(土台)として、これらを木槌で叩いて凹みをつくります。そこに七宝焼きの色となる釉薬をのせて、裏側にも釉薬を塗り、バランスをとって、破損を防ぎます。

その後、銀箔を貼り付け、模様の輪郭部分とある銀線を立てていきます(これを植線という)。アクセサリーなら1~2日の作業ですが、大作なら、何週間もこの作業に時間がかかることもあるのです。

出来上がった模様の中に、銀線の高さを超えるところまで、釉薬の色を差します(これを施釉という)。その後、表面の高さと銀線の高さが揃うように磨き、表面を滑らかにします。

素地作りや植線などの作業からつくられた七宝はこの工程の間に、焼成を何回も繰り返して作品として焼きあがるのです。

釉薬の色を重ねるほどに、七宝の色は深くなっていきます。素地つくり・植線・焼成を繰り返し、1つの作品が出来上がるまではおよそ3日かかると言われています。

素地や銀線を立てているので粉々には割れない。

土・粘土が素地の陶器や、七宝と同じガラス質であるグラスも落としたり、強い力を加えたりするとバリバリっと割れてしまいます。しかしアクセサリーなどの小物はもちろん、大作の七宝でも陶器の茶碗やグラスにようには割れません。

その理由は、七宝の製法からもわかるように、ガラス質であっても素地に銅などの金属を使っており、模様の輪郭部分に銀線を立ててつくられているからです。

割れるというよりひびが入る

七宝焼きの作品は、粉々に割れることはありません。ガラス質の部分にヒビが入るか、ヒビの入った部分が欠けてしまいます。金・銀・銅・鉄などの金属製の素地に、ガラスの粉の釉薬をのせ、800℃前後の高温で焼き上げるのが七宝です。

金属が素材の素地は、よほどのことがない限り、真っ二つに割れたり、粉々に割れたりすることはありません。
しかし表面の釉薬は、ガラス質なので、割れるというよりヒビが入ったり欠けたりします。そのため、グラスや陶器と同じように、取り扱いには注意して、大切に扱わなければならないのです。

ヒビや欠けてしまった七宝の修復は難しい!

製作所によっては、ヒビや欠けてしまった七宝焼きは、「焼き直して修理して直すことが可能」とその修理を承っているところもあります。

ただ、一般的には、修理は難しいといわれ、ヒビや欠けている部分の修理を断る製作所が多いのも現状です。というのも、七宝は最初に解説したように同じ作品はないからです

  • 同じ色が出せない
  • 何度で焼かれたのかわからない
  • 銀線を立てている場合は、銀線を外さなければならず、同じようには立てられない

上記のような理由から、ヒビや欠けた部分の補修が難しいという理由で、修復の依頼を断る製作所が多いのでしょう。

お手入れの仕方

修理は無理だけれど七宝焼きの製品は、大切にしなければガラス質の釉薬の部分にひびが入ってしまったり、欠けたりしてしまいます。

七宝焼きの作品は、太陽光でも変色せず、水にぬれても問題はありません。日頃のお手入れは、不織布や眼鏡拭きなどの柔らかい布で拭く程度でよいでしょう。

注意する点は強い衝撃や落とすとヒビが入ったり、欠けてしまったりする場合があります。そのため丁寧に扱うようにしてください。

地金が銀製品の場合

地金が銀という七宝もあります。銀が地金のものは表面が黒ずんできます。いわゆる自然のいぶし銀のような現象です。

銀色七宝は、華やかな美しい色を使っているだけに、地金の黒ずみは見た目が悪くなってしまいます。液体タイプのシルバークリーナーなどで、定期的に黒ずみを落としてあげましょう。

まとめ

まとめ

伝統工芸品である七宝焼きは、いつまでも色落ちしないので、親子・孫の代まで受け継ぎ、楽しむことが可能です。上手に管理して、いつまでも「七宝」と言われる美しい色を楽しんでください。

「畠山七宝製作所」は、東京都荒川区にある七宝焼きの製作所です。弊社の商品は、東京都知事指定の伝統工芸品として認められている商品です。

弊社では店頭、また百貨店やホテルで展示販売しているほか、一部商品はWEBサイト内で七宝焼きの販売をしています。紀元前からの伝統を受け継ぎ、進化を続ける伝統工芸の七宝焼を、是非ご堪能下さい。