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現在のメタル七宝製作手順

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手順1:空焼き

この写真は、メタル七宝最初の工程で空焼きといいます。この作業目的はプレスして出来た素地の油を落とす為に行います。素地に油が付いていると七宝釉薬の盛り付けが出来ません。

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手順2:酸洗い

この酸洗いは手順1で空焼きの時に生じた酸化膜を塩酸:硝酸などで洗い素地の表面を綺麗にします。このとき酸洗いが汚いと透明色特にピンク:赤:青竹などの発色が悪く綺麗に仕上がりません。

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手順3:釉薬のこなし

七宝のデザインにそって滑らかにまた均一に絵の具を盛るには釉薬の粒子を揃える必要があります。そこでこの作業が必要となります。

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手順4:釉薬の盛り付け

この写真は、七宝の基本とも言うべき盛り込みの作業です。主に硅石を原料とした釉薬を竹のへらを使い形状に合せて盛り込みます。この作業は七宝が始まって以来、変わっていません。

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手順5: 乾燥

これは乾燥と言い七宝の釉薬を2時間~3時間、釜の上で乾燥させます。ここで乾燥を怠ると釉薬に寄りや変色が起こることが有ります。十分に釉薬の水分を取ります。

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手順:6 七宝焼成

これは七宝の焼成です。この時の釜(電気炉)内の温度は800度~850度ぐらいです。この焼成によって製品の出来栄えは大きく左右されます。
温度により釉薬び発色が多少異なっています。
たとえば透赤や青竹などは高温で、不透明の朱赤などは低温の方が良いとされます。現在は電気炉という文明の利器を使い焼いておりますが、道仁の頃は炭火が陶芸家が使う釜で焼いたのでしょうか。現在では考えられないような苦心があったでしょう。

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手順7:焼成2

釜の中で焼かれた後は黒い酸化膜が残ります。手順2のように酸洗いします。

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手順8:酸洗い「キリンス」

これは手順7で生じた酸化膜を塩酸と硝酸で垢落ちさせたところです。私たち東京七宝はこの酸洗いを非常に重要視します。その訳は酸洗いが綺麗でないと七宝釉薬の透明色が発色しません。そのため綺麗に酸洗いします。 また一般的な「七宝教室」等で行われる七宝ではこの作業は出来ません。
これは水質管理の免許を持ったプロしかできないのです。
ここが一般的な七宝と東京七宝の大きな違いです。

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手順9:七宝盛り込み

この写真は、二番目の盛り込みです。一番盛りが正確に行われていないと二番を盛ることが出来ません。正確にとは釉薬の高さがデザイン線よりわずかに上に来るくらいに盛ります。釉薬は焼成された後わずかですが低くなります。釉薬によって多少の違いが有りますが、その高さを飲み込むまで1年~3年は掛かります。

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手順10:乾燥

これは手順5と同じく2,3時間かけて乾燥させます。

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手順11:焼成

これは手順6と同じ焼成強くとも弱くとも作品は綺麗に上がりません。

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手順12:酸洗 

別名(キリンス)と呼びます。

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手順13:七宝盛り込み3

この写真は、3番目の盛り込みです。2番盛りが正確に行われていないと3番を盛ることが出来ません。ここの手順は9と同じです。

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手順14:乾燥

これは手順5と同じく2,3時間かけて乾燥させます。

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手順15:焼成

これは手順6と同じ焼成強くとも弱くとも作品は綺麗に上がりません。

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手順16:酸洗

別名(キリンス)と呼びます。

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手順17:七宝盛り込み4

この写真は、4番目を盛り込む素地です。3番盛りが正確に行われていないと4番を盛ることが出来ません。ここの手順は13と同じです。
盛り込み作業の写真は手順13を参照してください。

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手順18:乾燥

これは手順5と同じく2,3時間かけて乾燥させます。乾燥の写真は手順5を参照してください。

手順19:焼成

この四回目焼成で黄色とピンク作品の色付けが終了します。

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手順20:研磨

 ハートのブルーとブラックを研磨する前です。

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手順21: 研磨

この作業は、七宝表面の研磨です。七宝表面の釉薬を削りデザインの模様を研ぎだします。始めは粗い砥石で90%まで研磨し、仕上げは細かい砥石で丁寧に仕上げます。研磨が粗いとメッキする時不良の出る事があります。また砥ぎ過ぎると思うような色が出なくなります。
ここまでの作業をすべてマスターするには7~8年の修練が必要です。

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手順22:研磨仕上げ

この写真は、細かい砥石220番を使い仕上げたところです。

手順23:検品

この検品は七宝表面の気泡や食い込みを修正します。
食い込みとはデザインの配色を超えた所に他の色が入ったものを修正します。

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手順24:上げ焼き

この写真は上げ焼き前の作品です。

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手順25:上げ焼き2

この写真は最後の焼成です。
ハートの作品を仕上げるまで少なくとも25の工程が必要となります。ここまでの工程を必要とするのは、東京七宝だけと言えるでしょう。なぜならすべての色をでざいんに正確に配色しなければならないからです。
すべての作品がデザインどうりに配色する必要の無いものは別ですが。

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手順26: 完成品

これは黄色のペンダント完成品です。
この作品にはデザイン,彫刻、メッキといった工程は入っていませんが、すべての工程でその過程で必要なプロの技を駆使して一つの形になります。この作品1点だけの価格は6万円程になるでしょう。